労災メリット制度とは、事業主の労働災害防止努力の促進と、それによる保険料負担の公平性の確保を目的として、個々の事業場の業務災害の多寡に応じて、一定の範囲内で事業主が負担する労災険料を増減させる制度です。
単独有期事業の労災メリット制度は、個々の事業において、保険料に対する保険給付の割合からメリット収支率を算定してメリット増減率を決定し、確定保険料にメリット増減率を反映した「改定確定保険料」で最終精算することで、労災険料を増減させる仕組みです。
単独有期事業(建設の事業)で、労災メリット制度の対象となるのは、その規模が次のいずれかに該当する場合です(20条、則35条)。
「非業災減確定保険料」とは、確定保険料から、労災メリット制度による増減の対象とならない「非業務災害率」(0.6/1000)に応じた部分を減じた額で、その計算式は次の通りです。
「メリット収支率」とは、非業災減確定保険料に対する業務災害に係る保険給付等の割合で、その計算式は次の通りです(20条、則35条)。
「メリット増減率」とは、メリット収支率に応じて非業災減確定保険料を±40%の範囲で増減させる率のことで、次の「労働保険料の額から非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額の増減表」(則別表第6)にメリット収支率を当てはめてメリット増減率を判定します(20条、則35条)。
メリット収支率 | メリット増減率 |
10%以下のもの | 40%減ずる。 |
10%を超え20%までのもの | 35%減ずる。 |
20%を超え30%までのもの | 30%減ずる。 |
30%を超え40%までのもの | 25%減ずる。 |
40%を超え50%までのもの | 20%減ずる。 |
50%を超え60%までのもの | 15%減ずる。 |
60%を超え70%までのもの | 10%減ずる。 |
70%を超え75%までのもの | 5%減ずる。 |
85%を超え90%までのもの | 5%増加する。 |
90%を超え100%までのもの | 10%増加する。 |
100%を超え110%までのもの | 15%増加する。 |
110%を超え120%までのもの | 20%増加する。 |
120%を超え130%までのもの | 25%増加する。 |
130%を超え140%までのもの | 30%増加する。 |
140%を超え150%までのもの | 35%増加する。 |
150%を超えるもの | 40%増加する。 |
メリット収支率とメリット増減率の関係をグラフにすると、次の通りです。
「改定確定保険料」とは、確定保険料のうち非業災減確定保険料をメリット増減率によって増減された後の確定保険料のことで、その計算式は次の通りです。
「労災メリット還付(追徴)金」とは、納付済の確定保険料に対し、メリット増減率に応じて還付または追徴される保険料のことで、その計算式は次の通りです。