Pythonプログラムのインターフェース

〇 「Python」プログラムのダイレクト実行

• Pythonのプログラムは、ここでは「Jupyter Lab」で記述しているため、プログラムファイルの拡張子は「.ipynb」となります。このファイルは、「Jupyter Lab」（や「Jupyter Notebook」など）で実行できますが、「Jupyter Lab」を開いていないときに、ちょっとしたPythonのプログラムを実行するだけのために「Jupyter Lab」を開くのは面倒です。
• Pythonプログラムを「Jupyter Lab」上ではなく、「Python」でダイレクトに実行させるには、拡張子が「.ipynb」のプログラムファイルを拡張子が「.py」のプログラムファイル（Pythonコードのテキストデータ）に変換する必要があります。
• 例えば、「wordnippou.ipynb」というプログラムファイルを「wordnippou.py」に変換するには、「Jupyter Lab」で次のプログラムを記述して実行します。

import subprocess

subprocess.run(['jupyter', 'nbconvert', '--to', 'script', 'wordnippou.ipynb'])

• その結果、「wordnippou.ipynb」と同じフォルダー内に「wordnippou.py」が作成されます。
• 後は、エクスプローラーでこの「wordnippou.py」ファイルを選択して右クリックし、「プログラムから開く」→「別のプログラムを選択」→「このPCで別のアプリを探す」として、「Anaconda」をインストールしたディレクトリにある「anaconda3」フォルダの「python.exe」を常に開くアプリとして登録しておけば、「wordnippou.py」ファイルをエクスプローラー上でダブルクリックするだけで（「Jupyter Lab」を開かなくても）ダイレクトに実行できるようになります（よく使うプログラムであれば、ショートカットをデスクトップに作っておけばより便利でしょう）。

〇 「Python」プログラムのＧＵＩ（Graphical User Interface）による実行

• とはいえ、上記の方法では、 「日報」を作る最初の日などをコマンドラインから入力することになりプログラムとしてあまりに味気なく、またプログラムでPrint命令した内容が画面出力されないのも問題です。
• そこで、より高度なインターフェースとして、ＧＵＩによる入出力画面を作ってみたいと思います。「Python」のＧＵＩライブラリとしては、一般的な「Tkinter」ではなく「PySimpleGui」を使ってみます。
• まず、PySimpleGuiライブラリについて、まだインストールしていなければインストールします。

pip install pysimplegui

• ＧＵＩを実装するプログラム例として、「PythonによるWordファイルの自動作成」（ckjsk871の前半部）のプログラムを使用します。
• 実装後の修正プログラムは次のとおりです。青色の★のある行が「PythonによるWordファイルの自動作成」のプログラムを修正した部分です。主には、元のプログラムのinput文3つ（ 「日報」を作る最初の日 、「日報」を作る日数、土日の「日報」を作るかの選択肢）を削除して、代わりに入出力画面をレイアウトして、3つのデータを画面入力できるようにし、処理結果も画面出力できるようにしました。その他の処理は全く同じですが、while True～で始まる「画面表示ループ」内に処理を収めていることが必要です。最後にループ外で画面をcloseします。

# PythonによるWordファイルの自動作成とWordファイルの自動書式設定

# 「日報」用の文書ファイルをまとめて作成

# 必要なモジュールを呼び出す

import docx

from datetime import datetime, date, timedelta

import mojimoji

import PySimpleGUI as sg # ★

# 曜日の日本語変換辞書を設定する

youdic = {'Mon':'月', 'Tue':'火','Wed':'水','Thu':'木','Fri':'金','Sat':'土','Sun':'日'}

# 入出力画面のレイアウトを定義する（入力欄にはデフォルトで値を表示しておく） # ★

hiduke = '0'

layout = [[sg.Text('「日報」を作る最初の年月日を数字8桁で入力してください'), sg.Input(default_text='20230206',key='input1')],  # ★

          [sg.Text('「日報」を作る日数を数字1～31で入力してください'), sg.Input(default_text='5',key='input2')], # ★

          [sg.Text('土日の「日報」を作りますか？ 土日とも作らない=1、土曜のみ作る=2、日曜のみ作る=3、土日とも作る=4'), 

           sg.Input(default_text='1',key='input3')], # ★

          [sg.Button('OK')], # ★

          [sg.Output(size=(100,10))]] # ★

# 定義したレイアウトで入出力画面を生成する # ★

window = sg.Window('「日報」用の文書ファイルをまとめて作成', layout) # ★

# 入出力画面を表示し、 「日報」を作る最初の日などを入力すると、入力情報に基づき日報ファイルを生成する # ★

while True: # ＜ 以下、画面表示ループ ＞ ★

    event, values = window.read() # ★

    if event == None: # 入出力画面右上の「×」（閉じる）ボタンが押されると… ★

        break # 画面表示ループを抜けて終了する ★

    elif event == 'OK': # 「OK」ボタンが押されると… ★

        hiduke = values['input1'] # 「日報」を作る最初の日を「hiduke」とする # ★

        n = int(values['input2']) # 「日報」を作る日数を「n」とする # ★

        d = int(values['input3']) # 土日の「日報」を作るかの選択肢を「d」とする # ★

        # 入力されたデータが指定の範囲に収まっている場合だけ次の処理に移る # ★

        if len(hiduke) == 8 and (n >= 1 and n <= 31) and (d >= 1 and d <= 4): # ★

            # 「日報」を作る最初の日付を「date0」とする

            nen = int(hiduke[0:4])

            tuki = int(hiduke[4:6])

            hi = int(hiduke[6:])

            date0 = date(nen,tuki,hi) 

            # 以下の作業をn回繰り返す

            for i in range(n):    

                # 最初の日「date0」に i 日（ 0 ～ n-1 日）加算した日を「date1」とする

                date1 = date0 + timedelta(days=i) 

                # 「date1」について「日報」に利用する様々な日付を作成する

                nen = date1.year # 年（半角数値） 

                nenstr = str(nen) # 年（半角文字） 

                nenzen = mojimoji.han_to_zen(nenstr) # 年（全角文字） 

                tuki = date1.month # 月（半角数値） 

                tukistr = str(tuki) # 月（半角文字） 

                tukizen = mojimoji.han_to_zen(tukistr) # 月（全角文字） 

                hi = date1.day # 日（半角数値） 

                histr = str(hi) # 日（半角文字） 

                hizen = mojimoji.han_to_zen(histr) # 日（全角文字） 

                you = date1.strftime('%a') # 曜日（英語略表記） 

                date2 = str(date1.strftime('%Y%m%d')) # 日付（yyyymmdd形式 半角文字） 

                date3 = nenstr+'/'+tukistr+'/'+histr # 日付（yyyy/m/d形式 半角文字） 

                date4 = nenzen+'年'+tukizen+'月'+hizen+'日' # 日付（yyyy年m月d日形式 全角文字） 

                date5 = '（'+youdic[you]+'）' # 曜日（日本語表記カッコ付） 

                # 元になる文書ファイル（ひな形）を読み込み、「doc」に格納する

                path = r'C:\Users\......\......\......\......\......\日報yyyymmdd.docx'

                doc = docx.Document(path)

                # 日報を作る曜日の分岐処理を行う

                if (you == 'Mon' or you == 'Tue' or you == 'Wed' or you == 'Thu' or you == 'Fri')\

                    or (you == 'Sat' and (d == 2 or d == 4))\

                    or (you == 'Sun' and (d == 3 or d == 4)):

                    # 1つ目の表の2行目の1列目の1段落目のテキストを「par1」に格納する

                    par1 = doc.tables[0].rows[1].cells[0].paragraphs[0]

                    # 「par1」にある'Ｙ年Ｍ月Ｄ日（）'というテキストを実際に使用する日付・曜日に書き換える

                    par1.text = par1.text.replace('Ｙ年Ｍ月Ｄ日（）',date4+date5) 

                    # 文書ファイルの新規作成

                    path = path.replace('yyyymmdd',date2)

                    doc.save(path)

                    print('パス '+path+' で新規にファイルを保存しました')

# ウィンドウを閉じる # ★

window.close() # ★

• このプログラムファイルを、冒頭に述べたように拡張子が「.py」になるよう変換し、「python.exe」で実行（ 「日報」を作る最初の日 、「日報」を作る日数、土日の「日報」を作るかの選択肢を入力し、OKボタンをクリック）した場合の入出力画面は次のとおりです（もちろん、変換しないで「Jupyter Lab」上で実行しても同じ入出力画面が出て来ます）。
• 
• なお、上記のように、PySimpleGuiライブラリを使ったＧＵＩの構築方法は直感的で分かりやすく、入出力画面作成という一般的にはやや重い課題を（かなり少ないステップで）容易に実現できます。