事業者は、常時50人以上の労働者(事業者が直接雇用している者及び派遣労働者)を使用する事業場ごとに、所定の資格を持つ医師のうちから産業医を選任し、労働者の健康管理等を行わせなければいけません(13条、令5条)。なお、常時50人未満の労働者を使用する事業場においても、医師等に労働者の健康管理を行わせる努力義務があります(13条の2、則14条)。
産業医は、次の事項で医学に関する専門的知識を必要とするものを行うこととされます(則14条)。
産業医は、少なくとも毎月1回(産業医が、事業者から、毎月1回以上、所定の情報提供を受けている場合で、事業者の同意を得ているときは、少なくとも二月に1回)作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければいけません(則15条)。また、事業者は、産業医に対し、産業医が行うべき事項をなし得る権限を与えなければいけません(則15条の2)。
産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について、総括安全衛生管理者に勧告したり、衛生管理者に指導・助言することができ、事業者は当該勧告を尊重しなければいけません。また、勧告を受けたときは、勧告の内容と勧告を踏まえて講じた措置の内容(措置を講じない場合はその旨と理由)について、衛生委員会等に遅滞なく報告し、記録を3年間保存しなければいけません。(13条、則14条の3)
事業者は、産業医に対し、労働者の労働時間に関する情報など産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な次の情報を提供しなければいけません(13条、則14条の2)。
事業者は、産業医による労働者の健康管理等の適切な実施を図るため、産業医が労働者からの健康相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備など必要な措置を講ずるように努めなければいけません(13条の3)。
事業者は、産業医が辞任したときや産業医を解任したときは、遅滞なく、その旨と理由を衛生委員会等に報告しなければいけません。(則13条)。
産業医を選任した事業者は、その事業場における産業医の具体的な業務内容、産業医に対する健康相談の申出の方法、産業医による労働者の心身の状態に関する情報の取扱方法を、常時各作業場の見やすい場所に掲示するなどの方法により、労働者に周知しなければいけません(101条、則98条の2)。